テーマパーク業界が好調だ。なかでも大阪市の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」は、映画『ハリー・ポッター』や人気アニメ『ワンピース』など次々と新しいアトラクションをオープンさせ、話題を集め入場者数を増やしている。同じく入場者数を増やしているテーマパークのひとつで、USJとは性格が違う長崎県佐世保市のハウステンボスについて大前研一氏が解説する。
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地方のテーマパークでは、長崎県佐世保市のハウステンボスも好調だ。経営再建のため2010年に大手旅行代理店エイチ・アイ・エス(H.I.S.)の傘下に入り、社長に就任したH.I.S.の澤田秀雄会長がわずか1年で営業黒字に転換。以降2013年9月期まで4期連続で増収増益を確保し、2014年9月期も5期連続の増収増益を見込んでいる。
1992年の開業以来18年間にわたって営業赤字だったハウステンボスを再生した澤田氏の経営手腕は「澤田マジック」とまで言われている。
だが、これはUSJとは現象が全く違う。ハウステンボスは大きな投資をして新しいアトラクションを導入したわけではなく、無料エリアと有料エリアに分けて有料エリアの入場料も引き下げ、コンサートやお祭り、花火大会などのイベントを開催したり、H.I.S.の営業力を駆使したりすることで入場者が増え、収益が好転したのである。
ただし、ハウステンボスの場合は本質的にUSJや東京ディズニーリゾートと異なり、単なる“偽物のオランダ”なのでリピートする動機が乏しいし、東京や大阪から行くには交通費がかかりすぎる。実際、スペイン村やモンゴル村、ニュージーランド村、すでに倒産した倉敷チボリ公園など他の疑似外国テーマパークは惨憺たる状態だ。
ハウステンボスが今後も好調を維持できるかどうかは、話題性のあるイベントを継続できるかどうかにかかっている。
※週刊ポスト2014年10月3日号