電機業界で「一人負け」が続くソニーがいよいよ追い込まれている。平井一夫社長は9月17日、今期の連結業績の見通しを2300億円の最終赤字に下方修正。さらに1958年の上場以来続けてきた株主への年間配当を初めて無配としたことにある株主は憤りをあらわにする。
「平井社長は5月に500億円の最終赤字の見通しだと発表し、6月の株主総会で役員報酬を決めたばかり。そのわずか3か月後に、『やっぱり2300億円でした』というのだから、自分の高額報酬を維持するための“後出しジャンケン”だったのかと疑いたくなる」
平井社長の昨年度の年収は3億5920万円。今期中には不振のスマホ事業の従業員1000人削減を発表する一方で、あまりに「トップに甘い」という印象は拭えない。『ソニーの法則』(小学館文庫)の著書がある経済ジャーナリストの片山修氏が指摘する。
「平井社長は17日の会見で下方修正について『経営陣として大変重く受け止めている』と述べたものの、自らの経営責任には言及しなかった。しかし初の無配になった以上、トップとして責任を取って、役員報酬のカットなど、ケジメをつけてもよかったのではないでしょうか。そうでなければ、株主も納得しない」
ソニーは経営の監督機能(取締役)と業務の執行機能(執行役)を分ける委員会設置会社制度を導入している。その結果、経営に関与する12人の取締役のうち、社内取締役は3人のみ。ほかの9人は社外取締役のため、現実には平井氏を中心とする3人で経営戦略を決めているのではないかという批判がある。前出・片山氏がいう。
「平井社長は社外取締役が進言しても聞く耳を持っているのかどうか疑問です。これでは高額報酬をどう決めているのかと疑われても仕方がない。平井社長就任の2012年以降、下方修正は今回で6回目。次に同様のことがあれば経営陣一新というところまで追い込まれると思います」
※週刊ポスト2014年10月10日号