9月25日に終了したTVドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち』(フジテレビ系)で、不倫に溺れる危険な人妻を演じて新たな境地を切り開いた女優・吉瀬美智子。彼女が最初で最後の自叙伝エッセイ『幸転力』(小学館)を上梓した。同書の中で、吉瀬はこう振り返っている。
〈このドラマへの出演のオファーがあったのは出産後半年を過ぎたころ。復帰に向けての体づくりはしていましたが、いつから本格的に復帰するのか、覚悟もできていないうちのお話でした。正直に言うと、復帰をもう少し先に延ばしたい気持ちもありました。撮影が始まればどれだけ大変な状況が待っているか、どれだけ自分が追い込まれるかの想像がついていたからです。それでもオファーを受けたのは、この作品に心から惹かれたから。〉
吉瀬の好演もあり、ドラマは最終回で16.5%の高視聴率を記録して幕を閉じた。そもそも吉瀬は32歳で女優デビューし、38歳で念願の母となるなど、決してその歩みが早いわけではない。いつも「遅咲き」の枕詞で語れることが多い。にもかかわらず、なぜ彼女は歳を重ねるごとに輝きを増しているのだろうか。そのキーワードが「幸転力」だ。
吉瀬自身、インタビューで「幸せも不幸せも自分の感じ方次第」と度々答えている。目の前で起きた事実はゼロであり、幸せでも不幸せでもなく、反応する自分の心がどちらかに振れているだけ、という考え方だ。だから、普通の人ならネガティブに考えてしまいそうなことがあっても、どこか楽しんで接することができ、そうすることで幸せに転じさせていくようになったのだという。
〈幸転力。不思議な言葉。私が大好きな“好転する”という言葉に似ています。その言葉を聞いたとき、なぜかとても自分の気持ちにすんなり入ってきたのです。〉(同書より)
同書では、吉瀬が出産を経て、約1年半ぶりに女優復帰したいきさつから、幼少期からモデル時代の思い出、女優の道に進む覚悟、失恋そして結婚、38歳での出産、仕事への復帰などなど、これまで明かされることのなかった「本当の吉瀬美智子」が綴られている。
「自分を貫く」「心と対話する」「直感力を磨く」「課題を愉しむ」という吉瀬流の幸せへの指南書。ゆっくりでも、大丈夫。遅咲きのあなたも、ちょっぴり元気をもらえるかもしれない。