かねてからの円安で、東京都心部の不動産市場を中国マネーが席巻している。自分の目で購入物件を探し回る中国人も急増しており、「都心不動産購入バスツアー」が毎日のように行なわれている。
中国人はどんなエリアの物件を好んで買っているのか。
9月中旬、中国・上海の「シャングリラホテル」のミーティングルームで開かれた投資セミナー資料では〈最も都心である千代田区、中央区、港区。核心5区といえば、前出の3区に新宿区と渋谷区が加わる〉と、東京の都心部を勧めている。不動産市場分析会社「スタイルアクト」代表取締役・沖有人氏の指摘。
「中国人に特に人気なのは青山・赤坂・麻布の『3A』エリア。また新宿、六本木、品川など知名度がある地区の物件です。加えて最近は、有明や豊洲などの湾岸エリアの人気が高まっています」
湾岸エリアは東京五輪開催を背景に価格の値上がりが期待できるからだという。価格帯はどうか。
販売業者などに聞くと、彼らが購入しているマンションは5000万円から1億円強までの価格帯が多い。余裕があればその価格帯で2軒、3軒と同時に購入することもある。
前出の沖氏は「中国人は皇居が近かったり、皇居が見えたりする物件を非常に好む傾向がある」という。皇居近くのマンションは必然的に高額になり、2億円、3億円といった物件も多い。
「2億円以上する超高級物件は法人名義で買われることが多いが、調べてみると中国人マネーを管理する会社であるケースが最近は非常に多い」(千代田区の不動産業者)
世界的に見れば、ニューヨークのマンハッタンもロンドンのチェルシーも2億円、3億円という価格帯は当たり前。中国の富裕層にとっては特に高い買い物ではない。都心で雨後の筍のように建っているタワーマンションのペントハウスをはじめ、億ションが飛ぶように売れていくのは中国マネーの存在なしには説明できない。
※週刊ポスト2014年10月17日号