現役時代の仕事に誇りを持つのはいいことだが、だからといって他人を見下す態度をとっては取り返しが付かないことになる。実績もプライドもある中高年男性が地域活動に参加すると、思わぬトラブルを引き起こしてしまうこともある。
大手メーカーを定年退職後、「これからは俺が毎朝ゴミ出しをするよ」と張り切っていたA氏(62)。ところがゴミ袋を持って外に出たものの、どうすればいいのかわからない。
「ゴミを抱えたA氏が自宅からいちばん近い場所に捨てようとすると、町内会活動のリーダー格の商店主から『ここはあなたの家の捨て場所じゃないよ』と注意されたんです。町内会によってゴミ出しルールは細かく決められていますからね。
素直に従えばいいのに、元エリートのA氏はプライドが許さなかった。『何だと! 家の近くで捨てて何が悪い』と反論。挙げ句には『俺を誰だと思っている』と上から目線で怒鳴り付けました。結局、朝っぱらからゴミ捨て場の前で怒鳴り合いですよ」(町内会関係者)
アルコールの力が加わるとさらにタチが悪くなる。60代のNPO関係者がいう。
「歳を取ると酒に弱くなるからか、酒席で怒鳴り始めるお年寄りが多いんです。我々のNPOに参加している人でも、昼間は紳士的に活動に参加していたのに、夜の慰労会で酒が入ると豹変して“大学も出てないやつらが俺に指図するんじゃねェ”などとし立てる人がいました。
最初は黙って聞いていたけど、次第にこっちもイライラしてきて“アンタは学歴しか誇るものがないんだろ!”と声を荒らげてしまった。双方エスカレートしてグラスや灰皿を投げつける騒ぎになってしまいました」
酒席の振る舞いでこの男性は日頃の評判が一気に崩れ、いつのまにかNPOを去っていった。
※週刊ポスト2014年10月10日号