御嶽山の噴火による死者は50人を超えた。我々はこの悲劇を教訓とし、火山の持つ恐ろしさを理解し、その動きに細心の注意を払っていかなければならない。
立命館大学歴史都市防災研究所教授の高橋学氏は、15回の揺れが観測された御嶽山と同様に今年に入ってから震源の浅い地震が頻発している火山として、日光白根山(33回)、伊豆大島の三原山(28回)、富士山(5回)、草津白根山(4回)を挙げ、注意が必要だと指摘する。いずれも行楽地として多くの観光客が訪れるエリアである。
特に草津に関しては、気象庁もマグマの移動が原因の地震が増加したとして、6月に噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げた。地殻変動観測によれば、青緑色の湖水で知られる火口湖の「湯釜」付近の膨張が記録され、噴出するガス成分の変化や地下の温度上昇も指摘されている。
草津白根山はこれまで、今回の御嶽山と同じ水蒸気噴火を何度も繰り返してきた。気象庁の公開データでは20世紀以降だけで14回を数える。また、火山ガス(硫化水素ガス)が原因で死者が出たこともある(1971年、1977年)。地震学者の島村英紀・武蔵野学院大学特任教授はこういう。
「草津白根山では道路交通規制も行なわれています。ハイシーズンが近づいていた御嶽山で残念ながら十分な警告が出されなかったことからもわかるように、観光地では警戒を促すことに慎重になる傾向がある。にもかかわらず警戒レベルが上がったのは、それほどまでに危険度が高まっているということです」
伊豆大島でも活発な地震・火山活動が続いており注意が必要だ。5月に都心で震度5弱を観測した地震(M6)の震源は伊豆大島近海だった。
「海底火山の噴火によって島の面積が広がったことが話題になった小笠原諸島の西之島も含め、太平洋側から本州の下に沈み込むフィリピン海プレートではとくに火山活動が活発化しています」(島村氏)
※週刊ポスト2014年10月24日号