私立安城学園高校(愛知県安城市)の吹奏楽部を全国有数の名門に押し上げたカリスマ指導者・Y氏(69)にセクハラ疑惑が浮上している。意を決してセクハラを告発したのは、同校の卒業生で吹奏楽部OGの清水朋子さん(仮名・22)だ。卒業から3年半たった今になって朋子さんがセクハラ行為を告発するに至ったのは、学校と後援会の会談議事録の存在を知ったことが大きかったという。
朋子さんはY氏から突然尻を触られるなどの被害に遭っていたという。
「議事録には、はっきりとY先生のセクハラ行為を認める記述がありました。なのにY先生が顧問を外れただけで正式には処分されず、今も学校に残って生徒を指導していることに納得がいきません」(朋子さん)
2010年11月6日に初めて開かれた「坂田校長先生と後援会役員との会談議事録」にはこう書かれている。
〈学校側でY先生に話を聞き、子どもから訴えのあった体を触る事実(肩に手を掛ける、手を握る、顔を近づける、お尻をたたく(触る)を確認した。またこれらの行動に対し「おじいさんは許される」と発言した事実を確認した。〔学校長〕
→Y先生が子どもの訴えた事実(体を触る、発言内容)を認めたと判断する。〔後援会〕〉
だが、呆れるのはその後の学校側の対応だ。続く11月14日の議事録には学校長の発言としてこうある。
〈Y先生が子どもの体を触ったのは事実で小さなセクハラはあった。またこれらの行動に対し「おじいさんは許される」と発言したことも事実〉
校長のこの発言には当然、疑問の声が上がった。
〈→小さなセクハラとは、どういうことか? セクハラに大きい小さいがあるのか。〔後援会〕
→お尻を触る以上のことはなく小さなセクハラと判断。〔学校長〕
→電車の中でお尻を触れば犯罪となる。考え方がおかしくないか。〔後援会〕
→(学校長から回答なし)〉
そして3回目となる12月12日の会談。
〈→今回のセクハラに対し、当事者への「説明」「謝罪」「和解」は考える。セクハラ事実に対する判断は、学校に調査機関(教頭や学年主任などで構成)を設けてあり、そこで改めて判断し報告する。〔学校長〕〉
その後、校長は1月に朋子さんに謝罪した。しかし、被害者である朋子さんが今も納得していない以上、「説明」「謝罪」は果たせても「和解」に至ったとは到底考えられない。
※週刊ポスト2014年10月24日号