『サンデー・ジャポン』(TBS系、以下サンジャポ)に準レギュラーとして出演しているタレントの杉村太蔵氏(35才)。番組ではコメンテーターとして、時には反発を恐れずに、持論を述べる姿が見られる。例えば先月、野島善司都議の「結婚したらと平場では言う」という発言が批判を集めていることについて「野島さんの発言に対しては、世の中がちょっと過剰反応だと思う」と発言。女性コメンテーターたちの反発を招いたが、自身の主張にこだわった。そこには、貫き通している考え方かあった。
サンジャポは、さまざまなニュースを取り上げる情報バラエティー番組だ。政治や国際情勢から、企業の不祥事、殺人事件、芸能人の熱愛ネタなど、扱う話題はとにかく幅広い。
杉村氏はどんなテーマについて意見を述べる際にも、コメンテーターとして意識していることがあるという。
「忘れないようにしているのは、飯島愛さんの言葉です」と意外な人の名前を挙げるのだ。
2008年12月に亡くなった飯島さんは、芸能界を引退する2007年3月までサンジャポにレギュラー出演していた。その飯島さんと杉村氏には、ある“縁”があった。
国会議員当選直後、杉村氏が「行ってみたいですね、料亭に!」などの発言でバッシングを受けていたときのことだ。杉村氏がテレビをつけると、たまたまサンジャポでその騒動を話題にしていた。番組を見ていると、飯島さんがこう発言したという。
「もういいじゃん、そんなに叩かなくたって」
杉村氏が当時のことを振り返る。
「ぼくに批判的な立場をとる人がほとんどという状況のなかで、飯島さんだけがぼくを擁護してくれました。その言葉にすごく救われたんです」
当時の杉村氏の発言は、幼稚で議員になる者として自覚が足りない部分はあった。批判の声が出るのは仕方がないが、あらゆるマスコミからコメンテーターまで一斉にバッシングするほどのことだったのか。飯島さんの発言は、そうした疑問を端的に指摘したものだったと言える。当時まだ26才だった杉村氏にとっては、大きな支えとなる言葉だったのだ。
その飯島さんの言葉が、杉村氏がサンジャポやほかの情報番組でコメントするときの軸になっているという。
「コメントする対象が、どんなに多くの人からバッシングされている人だったとしても、ぼくはまず立ち止まって情報を整理し、考えるようにしています。本当にそれだけ批判されるべき人なのだろうか? 別の視点で見たら、まったく違う評価ができるのではないか? そうニュースを多角的にとらえるように意識しています」(杉村氏)
飯島さんに今でも感謝しているという杉村氏。飯島さんが生きているうちに共演はかなわなかった。「直接お会いしてお礼を言いたかった。それができなくて、本当に残念でなりません」と語った。
杉村氏は、話題を集めている初著書『バカでも資産1億円「儲け」をつかむ技術』で株式投資など実践的なお金儲けのテクニックだけではなく、こうした飯島さんのエピソードや、小泉純一郎元首相、安倍晋三首相、爆笑問題、テリー伊藤氏など、杉村氏に影響を与えた人との知られざる秘話を綴っている。
【杉村太蔵 すぎむら・たいぞう】
1979年8月13日、北海道旭川市生まれ。1998年4月、筑波大学体育専門学群に入学、2004年3月中退。オフィスビルの清掃員を経て、外資系証券会社に勤務。在職中の2005年9月、自民党公認候補として衆議院議員選挙に立候補、当選(2009年7月で任期終了)。2010年7月、参議院議員選挙に立候補するも落選。現在はタレントとして活躍中。投資家として株式投資で多額の利益を上げる。実業家の一面もあり、2013年5月に立ち上げた商社「杉村商事」の社長でもある。初の著書『バカでも資産1億円「儲け」をつかむ技術』が話題。杉村太蔵公式HPはhttp://www.sugimurataizo.com/
撮影■高柳茂