総理大臣や外国の要人などをとりまく黒いスーツ姿の警護官たち。するどいまなざしを周囲に向け、颯爽とした身のこなしで任務にあたる彼らはSP(セキュリティポリス)と呼ばれる警視庁の精鋭たちだ。謎に包まれた彼らの実態を、警察に詳しいフォトジャーナリストの菊池雅之さんと元SPで身辺警護SP学院講師の伊藤隆太さんに聞いた。
Q:SPはいつ発足した?
「1975年、佐藤栄作元総理の国葬で、当時の三木武夫総理が暴漢に殴られて負傷した事件がきっかけです。それまでは要人の前面に出ずに目立たないように警察官が警護していましたが、この事件を機にアメリカのシークレットサービスにならってSPが発足し、要人を取り囲む方式に変更しました。女性SPは1984年に来日した国公賓の夫人警護のために誕生しました」(菊池さん)
Q:SPになるのに必要な資格は?
「警視庁内部で希望者を募って選考しますが、特に必要な資格はないといわれています。ただ、男性の場合、身長173cm以上、剣道もしくは柔道3段以上。拳銃の腕前に優れ、忍耐力・判断力などを総合的に見て判断します。女性の場合も柔道・剣道または合気道3段以上など、男性に準じるかたち。1年に1回、応募者約250人の中から20~30人を選ぶ狭き門です」(伊藤さん)
Q:ふだんの装備は?
「ほとんどが一般の警察と同じで、警察手帳、拳銃、手錠、警棒、携帯電話、無線機など。警備の重要度に応じて、これに防弾のアタッシェケースやコートなどが加わる。財布には、緊急招集の際にいつでもタクシーに乗れるように、多めにお金を入れています」(伊藤さん)
Q:警護中はどこまでついていくの?
「食事やトイレはもちろん、一緒に温泉に入るケースもあると聞きました。常に近くで警護しているのは『直近』といい、警察での階級の高いベテランのみが任されます。私的な行動にもつきあうことがあります」(菊池さん)
※女性セブン2014年10月23・30日号