懐かしのヒロインが2年ぶりに帰ってきた。東京電力のマスコットキャラクター「でんこちゃん」が、最近になって再び同社のHPに登場。ファンの間で話題となっている。
でんこちゃんは震災翌年の2012年3月末、東電から“リストラ”された。本誌はその第一報を報じ(2012年3月9日号)、理由が「コスト削減」(同社広報部)であることや、生みの親である漫画家・内田春菊氏の悲しみの声を取り上げた。
でんこちゃんは1988年、東電のパンフレットに初登場。その後はテレビCMにも進出し、省エネや安全マナーの“啓発担当社員”として活躍した。その人気は高く、グッズ専門店「でんこちゃんショップ」が作られるほどの“東電の顔”であり、勤続25年を誇っていた。ちなみに見た目は幼いが人妻である。
今回、約2年の沈黙を経て、「でんきの省エネ術」という省エネ啓発ページに遠慮気味な大きさで再登場。微量の電力を消費するエアコンのプラグを抜くことなど、節電の知恵を身振り手振りで教えている。
往年の存在感は健在で、「電気と仲良くね」というお得意のフレーズとともにウィンクする姿は、2年が経過したとは思えぬ若々しさだ。復帰の理由を、東電広報部はこう説明する。
「今年8月末頃から、HPに復帰していました。でんこちゃんが不在の間に、その好感度の高さを再認識し、コミュニケーションツールとして彼女に頼るしかないと判断したからです」
気になる契約金額については、「個人の契約に関することなのでお答えできません」(東電・広報部)というが、かつて内田氏は本誌取材に「タレントさんの起用よりははるかにリーズナブルと聞いています」と説明していたので、今回も恐らく同水準になったとみられている。
当時、内田氏はこんな思いを語っていた。
「寂しい。もし、でんこが必要ならタダでも描くと(東電に)メールしました」
多忙のため、内田氏から“再雇用”の喜びの声を聞くことはできなかった。いまだ難問山積の東電に明るい材料となるか。
※週刊ポスト2014年10月31日号