ネット上に数多くの無修正動画を供給していた動画投稿サイト「FC2」をめぐる事件が相次いでいる。
自らの性行為映像を配信して約1年間で4000万円以上稼いだという「帽子君」と名乗る31歳の男が公然わいせつ罪で6月に逮捕されると、同サイトの実質的な運営会社とされる「ホームページシステム社」が9月30日に公然わいせつ幇助の疑いで京都府警などの家宅捜索を受けた。
当局は明らかに無修正動画の取り締まり強化に乗り出しているが、では「利用者」の法的責任はどうなるのか。
「ホームページシステム社」が公然わいせつ幇助の疑いをもたれたのはカネの流れに要因があった。
FC2はコンテンツの一部を無料で閲覧できるため「タダで無修正動画が見られるサイト」として広く知られるようになったが、さらに多くの動画を見ようとすると「会員登録」が必要で、有料のコンテンツも存在する。
前述した「帽子君」は、女子短大生(当時19歳)との性行為の様子を有料コンテンツである「FC2ライブ」で生中継していた。
生中継を見た視聴者が支払った料金(1分60円程度)のうち7割が投稿者の取り分となり、残りの3割を「システム手数料」名目でFC2側が徴収する。この構造が「利益を得るために違法な動画を放置した」と判断されたのだ。
これまで無修正サイトは、海外のサーバーから動画を配信しているため日本の刑法の適用が困難とされてきた。しかし今回の事件では、捜査によって実質の運営元が国内にあることが突き止められ、その「原則」が崩れた。
さらに「課金システム」がFC2関係者検挙の大きな理由になっていることもあり、「詐欺などの恐れが少ない有料サイトなら安心」というネットユーザーの常識にも疑問が生じている。
「閲覧するだけでも法に問われる」ということはあるのだろうか。骨董通り法律事務所の諏訪公一弁護士がいう。
「無修正動画を巡る問題点には、大きく分けて『わいせつ』と『著作権』の問題があります。
まず自分で動画を投稿すれば、わいせつ物陳列罪に相当する恐れがある。さらにアダルト動画にも著作権があるため、既製のAVなどの作品を投稿すれば著作権侵害になる危険もあります。
ただし閲覧に関しては、処罰の対象になる可能性は低い。ネット上のストリーミング(再生)視聴なら、刑罰や著作権侵害の対象とはなりにくいでしょう」
しかし動画をダウンロードした場合にはこの限りではなくなる。
「2012年10月の著作権法改正で、その動画が違法なものと知りながらダウンロードした場合、刑事罰の対象となる可能性が出てきました。
2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科される可能性がある。自らの端末に保存せずとも、ウィニーなどファイル共有サービスを利用した場合も罪に問われます」(同前)
※週刊ポスト2014年10月31日号