ネット上に数多くの無修正動画を供給していた動画投稿サイト「FC2」をめぐる事件が相次いでいる。警察当局は無修正動画の取り締まり強化に乗り出しているが、今後、「利用者」であるネットユーザーにも火の粉が飛んでくる可能性はあるのか。
有料サイトは、これまで無料サイトより危険度が低いといわれてきた。サイト内にある広告をクリックすると高額な料金を請求される、いわゆる「ワンクリック詐欺」の被害がほとんどなかったからだ。米国などに本拠地を置いているため、日本の法律に触れないというのも売り文句だった。
しかしFC2が米国経由でも摘発され、しかもコンテンツに対する対価が問題にされたことで、利用者の間にも「カネを支払っていた私たちも犯罪に手を貸したと認定されるのではないか」(40代会社員)と心配する声が高まっている。無修正動画やAV業界に詳しいライターの尾谷幸憲氏がいう。
「有料会員も閲覧のみの利用であれば罪に問われる可能性はほとんどないと思います。
ただし有料サイトの配信画像には基本的に違法性はないという認識は誤りです。有料でも著作権者の許諾なく配信しているサイトもある。現にAV大手メーカーが加入する知的財産振興協会がFC2動画を著作権侵害で訴えています」
いずれにしても国内では「無修正動画」は違法である以上、「グレーゾーンのものに接している行為」であるという意識は必要だ。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は警鐘を鳴らす。
「これまで無修正動画閲覧の議論はストリップ劇場にたとえられてきました。ストリッパーや経営者側が公然わいせつで逮捕されることはあっても観客は逮捕されない。同様に、違法なアップロードをしない単なる閲覧者であれば罪には問われないという理屈です。
しかし今後はどうなるかわかりません。取り締まりが強まる中、当局がFC2などのサイト運営者に“誰がどの画像に何度アクセスしたか”という通信記録を提出させ、一部のユーザーを摘発する可能性は否定できない。ヘビーユーザーは安心すべきではないでしょう」
※週刊ポスト2014年10月31日号