阪神タイガースと福岡ソフトバンクホークスの日本シリーズが開幕した。今回は日本一を勝ち取った1985年に状況が酷似しているなど、阪神有利の声も聞かれる。しかし、采配が冴えなければ勝負には勝てない。むしろ今の阪神の最大の問題はここにあると考えるファンも多いのではないか。シーズン終盤、甲子園にこだました和田豊監督へのブーイングは記憶に新しい。
歴代監督も和田采配を心配している。まずは1981年の首位打者で名球会員、1995年途中から指揮を執った藤田平氏がファンの意見を代弁する。
「監督の采配に意外性がないから面白くないんですよ。誰でも予想できる戦術ばかり。今年は優秀な選手がいるから勝ててきたようなものです。いわばPL学園と同じですわ。素人が監督をやっても選手の頑張りで夏の府大会決勝まで勝ち上がることができた。今年の阪神もCSの直前から選手の調子とやる気が上がってきたところが似ています。
でもPLは決勝で負けた。最後に勝つには監督采配が必要なんですよ。勝っても負けても監督の責任なんだから、もっと思い切ってやればいいんです」
1982~1984年に指揮を執り、1985年の日本一達成の基礎を作ったといわれる安藤統男氏も同意見。「固定観念を捨てろ」とアドバイスする。
「和田監督の特徴は、右投手には左打者、左には右とセオリー通りすぎるところ。左投手を苦にしない左打者だっているし、若い左打者には左投手をぶつけて克服させないと伸びていかない。CSではメッセンジャーに120球を投げさせたり、抑えの呉昇桓をイニングまたぎで使ったりと柔軟性を見せてきた。ようやく和田監督も考えるようになったということでしょうね」
そして2005年、日本シリーズで敗れた経験を持つ岡田彰布氏は「短期決戦の鉄則」を伝授する。
「まずどんな形でもいいから先取点を取ること。その点、打線はこれだけクリーンアップが固定できて打点もあげているんやから、組み替えせずにいつもの野球をやればエエ。もう一つはリリーフを惜しまず注ぎ込む投手交代や。巨人とのCS第4戦では、能見の調子が良くないのに引っ張った。あれはアカンな。大差がついていたとはいえ、次の日を考える必要がないんやから、どんどん注ぎ込まな」
※週刊ポスト2014年11月7日号