閣僚に次々と政治資金疑惑が発覚し、すでに2人の大臣が辞任に追い込まれた安倍内閣。江渡聡徳(えと・あきのり)防衛相も資金管理団体から自身に350万円を違法に寄付していた問題が明らかになり、「人件費だった」と釈明して政治資金収支報告書を修正した。だがさらなる疑惑を11月1日発売の週刊ポストが報じている。
同誌によれば、先の350万円とは別に、江渡氏は支部長(代表)を務める「自民党青森県第2選挙区支部」から2010年から2012年にかけての3年間、9回にわたって合計800万円を「寄付」の名目で受け取っていたのだ。
資金管理団体は政治家個人の「政治資金の財布」であるのに対し、政党支部はいわば政治家が政党から運営を任されている出先機関で、党本部からの政党交付金や企業・団体献金の受け皿となっている。政治資金規正法では、資金管理団体から個人(公職の候補者)への寄付はできないが、政党から個人への寄付は無制限に認められている。
これはもともと政党本部が選挙のときに候補者個人に「公認料」を支払う場合などを想定してつくられた制度だ。ところが、江渡氏は制度を悪用し、自民党本部から支部に渡された交付金を自分自身に寄付していたのである。受け取った「寄付」は江渡氏の個人資産となるから、何に使っても自由になる。
江渡氏に「何に使ったか」を聞いたが、「適切に使用しております」という回答だけだった。自民党本部も「適正に処理されていると認識している」と、問題視しようともしなかった。