最近ではコーヒーの「ダイエット効果」にも注目が集まり、トクホ(特定保健用食品)として脂肪燃焼効果を謳うコーヒー飲料も発売されている。京都大学の研究グループが行なったマウス実験では、コーヒーを投与したグループのマウスに体重減少が確認されている。
ダイエット効果はカフェインとクロロゲン酸の両方の働きによるものだと管理栄養士・安中千絵氏は解説する。
「体脂肪を燃やすには、まず脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解しなければなりませんが、この分解を行なうのがリパーゼという膵臓でつくられる酵素です。カフェインにはリパーゼを活性化する働きがあるほか、脂肪を燃焼して熱に変える褐色脂肪細胞を活発にする働きもあります。
また、体内で分解された脂肪酸はミトコンドリアで燃焼され、エネルギーに変えられるが、クロロゲン酸には脂肪酸のミトコンドリアへの取り込みを促進する作用があります」
トクホのコーヒー飲料もクロロゲン酸の含有量を増やしている。ただし、コーヒーを飲んだからすぐに痩せるわけではない。
「疫学調査の結果をみていると、『長年続けていれば、飲まない人に比べると変わってくる』という程度で、即効性は期待できません」(同前)
ちなみに「コーヒーは食後」のイメージが強いが、ダイエット効果を考えるなら食前に飲むほうがいいと岡希太郎・東京薬科大学名誉教授はいう。
「クロロゲン酸は糖分の吸収を遅くする作用も持ちますが、それは消化酵素による吸収を阻害するから。食前に飲まなければその効果は期待できません」
単純に食事の前にコーヒーを飲むことで空腹感が緩和される面もある。
※週刊ポスト2014年11月14日号