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エボラ 町医者に行くのはNG、性行為はもってのほかと専門家

 世界中で感染が拡がるエボラ出血熱。日本で感染が拡大した場合はどう対処すべきなのか。注意すべき点をエボラ出血熱に詳しい長崎大学熱帯医学研究所新興感染症学分野の安田二朗教授が指摘する。

「もし感染が疑われる場合にやってはいけないのは、近所の町医者に行くことです。自分自身で疑いをもっているときは、まず保健所に連絡してください。厚労省から医療機関に対しては、疑いがある場合は血液採取をしてはいけないといった通達が出ていますが、町医者などに行ってそこで嘔吐したりすると、パニックが起きますし、実際に医療従事者や他の患者さんを危険にさらします。

 また、性行為は感染のリスクが高く、もってのほかです。家で発熱が始まって嘔吐した場合などは、家族であっても吐瀉物に絶対に触ってはいけません。保健所に連絡して処理してもらう必要があります。きちんとした対処をすれば、感染が拡大するということはないはずです」

 そのほかに、血や糞便も感染経路となりやすいから要注意。とりわけ精液からは、発症から61日目までウイルスが確認されたことがあるため、回復後もしばらくは性行為を控えなければならない。

 もっとも、エボラウイルスは高い致死率のわりにウイルスとしては脆弱で、紫外線、乾燥、高温で容易に破壊されるという。イギリスの公共施設では、汚れた箇所の洗浄と乾燥の徹底だけで十分対応できるとしている。

 むしろ恐ろしいのは、デマを信じて誤った対処をしてしまうことだ。ウイルス性感染症によるパニックを描いたアメリカ映画『コンテイジョン』(2011年公開)では、誤った治療法が広まることで感染がさらに拡大していく恐怖が描かれていたが、いま英米ではネットを通じて、「漂白剤を飲めばエボラウイルスの免疫ができる」というデマが急速に拡大している。

 日本でも、一部メディアが「エボラ殺菌マスク」なるものを持ち上げたことで、専門家から厳しく批判を浴びている。「ウイルスの感染」を防ぐには、まず「恐怖の感染」を防ぐことが必要だ。

※SAPIO2014年12月号

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