世界で最も進んだ国民データベース(DB)によるe行政サービスを実施しているエストニアを訪問した大前研一氏が、「eガバメント(電子政府)」によるサービス内容を詳しく解説する。
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【電子内閣(e-Cabinet)】
2000年に導入された、ネット上で閣議が行なえる世界初のシステムだ。閣議の議題はネット上にアップされ、事前に合意できるものはネット上で決裁する。また、審議の内容や経過は、すべて国民がネットで直接見ることができるようになっている。したがって、閣僚や各省庁の仕事ぶりは100%国民の監視下にある。国家の運営は完全に“透明”で、日本のような我田引水の利権政治や税金のバラ撒きが入り込む隙はないのだ。
【電子投票(i-Voting)】
国民IDカード(身分証明書)やIDチップを搭載したSIMカード入りスマートフォンによって投票できるシステムだ。2005年にこれまた世界で初めて地方選挙に導入され、2007年には国会議員選挙にも導入された。2011年の選挙では票の24%が電子投票で、しかも世界105か国から期日前投票・不在者投票があった。
【電子警察(e-Police)】
パトカーに装備されているシステムで、交通違反などで職務質問をする際、警察が独自に管理するDBに加え、国民DBにもアクセスして運転者の情報を照会できる。
【電子教育(e-Education)】
「電子学校(e-School)」と「電子学習(e-Learning)」の二つがある。電子学校は、生徒の成績、宿題、出欠を集積するDBで、学校、生徒、保護者が閲覧できる。電子学習は、教師が自分でカスタマイズした教材を提供するシステムだ。
【電子駐車場管理(m-Parking)】
駐車スペース不足が予想される場合、適宜、料金を変更して自動車の一極集中を防ぐシステム。空いている駐車場の検索や料金の支払いがスマホでできる。
このように先進的なe行政サービスなので、日本からは毎週のように見学者が訪れ、2015年10月にスタートする「マイナンバー(社会保障・税番号)制度」の関係者は常駐しているような状態だと現地で聞いた。
※週刊ポスト2014年11月14日号