中国共産党機関紙「人民日報」(電子版)は1990年からこれまで、不正な資産を持って海外に逃亡した党、政府や国有企業の幹部は1992年からこれまで22年間で2万人に及び、持ち逃げした金額は1兆元(約17兆8000億円)にも達することが分かった。また、海外で逮捕され、中国に送還された人数は7000人に上る。現段階での海外逃亡者数と金額、逮捕者数が明らかになるのは初めて。
これまで中国で発表された資産持ち逃げ公務員らの数はまちまちで、党理論誌「半月談」が2003年6月時点で、海外逃亡者数は少なくとも4000人で持ち逃げ額は50億ドル(約5500億円)と報じていた。
ところが、中国商務省は2004年、逃亡者数は4000人としながらも、被害額は500億ドルと発表し、半月談よりも10倍以上に膨れあがっていた。2011年には中国の中央銀行である中国人民銀行がそれぞれ1万8000人と8000億元と修正している。
その後、党員の不正を追及する党中央規律検査委員会が昨年の国慶節(建国記念日)の2週間の大型連休中に1100人の公務員が帰国せず、逃亡したと断定。現時点までの22年間で2万人に達することが分かった。
この間、悪質な手口で持ち逃げ額が高額な51人が公表されており、このうち21人が党政府幹部で、19人が国有企業幹部、11人が金融機関の幹部となっている。
中国司法省(法務省に相当)によると、犯罪者の身柄引き渡しなどの条約を結んでいる国は63か国で、これまで海外逃亡者2万人のうち約7000人が逮捕されたという。
逃亡先は、米国、カナダ、オーストラリアの順に多く、このほか欧州各国が多いが、同省は「中国政府は世界各国と捜査協力を緊密にしており、今後は一層、持ち逃げ犯の追及を強める方針だ」と強調している。
中国では今年から北京市政府など地方政府が局長級以上の幹部のパスポートを預かり、公用以外の出国を厳しくチェックする態勢を敷いている。