100円回転寿司の台頭により、地元密着型の小規模店は差別化を図るべく、さまざまな工夫を凝らす店が増えてきた。ただし、店によって当たり外れがあるのもまた事実である。そこで、「外れ」を引かないためのチェックポイントを専門家に聞いた。
「レーンに流れている皿の数である程度、店の姿勢が分かります。どの店でも、ピーク時はネタが次々と捌けるので多くの皿が流れていますが、客の少ない14時から17時の間に大量の皿が流れている店は手抜きと見ていい。ネタの鮮度を無視し、大量の寿司を作り置きしている証拠です」
そう指摘するのは、B級グルメ評論家の柳生九兵衛氏。
「店に入る前には、店頭のメニューボードにも注目して下さい。その日のオススメや産地を”手書き”で掲示している店は、旬のネタが毎日入ってくる店と判断できます。仕入れ状況により安く提供できる新鮮なネタが揃っている証拠で、いつも決まったネタしか入荷しない店にはできない芸当です」
また、外食産業の裏側に詳しい「食品安全教育研究所」代表の河岸宏和氏は、「オープンキッチンで職人が寿司を握っている店は総じて外れが少ない」と言う。
「こうした店では鮮魚を多く扱っており、職人がひと手間かけて握ることでネタとシャリが一体化した美味しい寿司を食べられます。また、シャリが炊き立てかどうかも大きなポイント。お客に美味しいものを提供しようと心がけている店は、ピークに合わせシャリを炊いているのでシャリが冷えきっておらず柔らかい。外部の業者から仕入れた青いシャリのケースが山積みされているような店はあまり期待できませんね」
さらに河岸氏は「鉄火巻きを食べれば店の良し悪しがわかる」と断言する。
「鉄火巻きと称し、マグロの中落ちと植物性油を混ぜたものを冷凍で固めて巻いている店がある。これは食べる時に軽く押さえると潰れてしまうので、すぐに見分けがつきます。そうした店では、シャリにも植物油を混ぜて旨みを増している可能性があります」
●取材・文/鵜飼克郎(ジャーナリスト)
※SAPIO2014年12月号