いまやスマホをめぐる”事件”は後を絶たない。中国の情勢に詳しい拓殖大学教授の富坂聰氏がレポートする。
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中国のネットをとんでもない情報が駆け巡ったのは2014年11月9日のことだった。北京ではまさにAPECが開催中で、日本では日中首脳会談の話題で持ちきりだった。
いったいどんな情報なのか。
「それは1人若い女子がストリーキングする映像です。しかもストリーキングをした動機が、友達から『ストリーキングしたらiPhone6をあげる』と言われたことだというのです。その約束を取り付けた女子は、そのまま約3時間、一糸まとわぬ姿で街を歩き、念願通りiPhone6を手に入れたといいますから、驚きました。それほどいまの若者にとっては、最新型のスマートフォンの魅力というのが大きいのでしょうね」(上海のコンサルタント)
問題が起きたのは、広西チワン自治区崇左市龍州県。時間は深夜だった。ネットに投稿された10数枚の写真をみると、長髪で茶髪の女子が暗い街のなかで白い肌を晒しているのだが、実に堂々としている。まだシャッターを下ろしていない商店の前や、バイクが行きかう橋を渡っている写真があるなど、街をあちこち歩き回っていることも伝わってくるのだ。
ネットの書き込みによれば、中国の若者がこれほどiPhone6に熱狂するのは、彼らが意図的に市場での品薄感を演出しているためだという。そうしてお金はあるが利口でない中国人を洗脳しているというのだ。
〈原価わずかに220元のスマホが1万元まで値段が高騰するとは……〉とのネチズンの嘆きも見つかるが、これもいまの時代を象徴する動きといえるのだろう。