いよいよ冬のボーナスシーズンを迎える。大阪シティ信用金庫では毎夏冬、取引のある中小企業のボーナス調査を行なっている。同信金の調査担当は語る。
「そもそも中小企業では『ボーナスゼロ』のところがまだまだ多い。昨年、大阪府下の1127社を調査したところ、冬のボーナスを支給したのは56.2%に過ぎませんでした。今年の冬については調査・分析の途中ですが、4割以上の企業が賞与なしという状況は変わらないでしょう。平均支給額も昨冬の27万2442円から数千円アップが関の山で、経団連が発表した大企業平均の89万3538円には遠く及びません」
中小企業は日本の企業の99%を占め、雇用の7割を支えている。その多くはボーナス増とは無縁だというのである。
東京・大田区に本社を置き、プラスチック製部品などを製造する一英化学(従業員14人)の西村英雄・社長が嘆く。
「うちみたいな町工場はどこもそうだと思うけど、給料を出すのが精一杯だ。もちろん苦労している従業員がボーナスに喜ぶ顔が見たい。でも、人員整理もしているくらいでとてもそんな余裕はない。
大手企業は最高益だとニュースでやっているが、利益は中小の現場には還元されない。円高の時はコストカットを求めてくるが、円安になってもそれを元には戻さない。円安による電気代の高騰で前よりも苦しくなったくらいだ。
先日、メインの発注元が樹脂部門を大幅に縮小した。その発注元の意向で工場移転までしたのに、我々に何の説明もなかった。町工場をいじめて最高益やボーナス大幅増で浮かれているのは、見ていて本当に腹が立つ」
※週刊ポスト2014年12月5日号