マンガ、アニメなどのいわゆる“クールジャパン”が世界を席巻しているが、日本のテレビ制作現場の感じているニュース価値は、世界の常識とはかなりズレている。日本在住17年で『日本人、ここがステキで、ここがちょっとヘン』(大和出版刊。12月8日発売予定)などの著書があるドイツ人タレントのサンドラ・ヘフェリン氏は、日本とヨーロッパのニュース番組の違いをこう話す。
「ヨーロッパではまず国際ニュースがトップに来て、その後に国内ニュースが来るのが普通。ニュース番組で芸能人の結婚の話題をやるなんてありえません」
日本在住5年で『使える伝わるにほんご』(NHK)に出演するフィンランド出身の学生兼タレント、アカキ・クーメリ氏も「芸能ニュースはテレビじゃなくて、タブロイド紙でやることでしょ?」と首を傾げる。
ニュースで扱われるのも芸能人なら、ニュースを扱うのも芸能人。ニュースや情報番組のMC・コメンテーターにタレントが起用され、したり顔で意見を述べるのも外国人には異様に映るという。
「アメリカでは、政治やニュースに芸能人がコメントすることはありません。私は日本のニュース番組を見ながら、“どうしてこの人のコメントを聞かなきゃならないの?”と思うことがしょっちゅうあります。例えば政治のニュースなら、当然政治に詳しい人に解説してほしい。
自分が知らないことを知りたいからテレビを見るんですから。芸能人は一般の視聴者と同レベルの感想を述べているだけ。もしアメリカでそういう番組を作ったら、誰も見なくなりますよ」(『ニューヨーク・タイムズ』東京支局長のマーティン・ファクラー氏)
※週刊ポスト2014年12月5日号