マンガ、アニメなど、世界に誇れる日本の強みは「エンターテインメントのコンテンツ産業」だといわれてきた。しかしテレビ番組にその評価は当てはまらない。日本に住む外国人たちに聞くと、この国のテレビの異様さ、幼稚さに一様に呆れていた。
『ニューヨーク・タイムズ』東京支局長のマーティン・ファクラー氏は、来日後、朝のニュース番組を見て驚いたという。
「“朝刊チェック”というんですか? テレビなのに新聞や雑誌の紙面をそのまま読んで紹介しているのに目を疑いました。アメリカでは絶対にありえません。というより、ジャーナリズムとしてありえない。自分で取材してもいないものを堂々と報じて恥ずかしくないのかと思いました」
これもテレビの人間に言わせれば“発明”なのだろう。新聞や雑誌を紹介するだけなら、金もかからず、これほど楽なことはない。訴訟リスクだってゼロ。しかし、世界のメディアの常識からすればとんでもなく「恥ずかしい」ことなのだ。
※週刊ポスト2014年12月5日号