「今晩寝る場所がない」「今日食べる物がない」「もう自分の体を売るしかない」…生活保護の制度さえ知らず、ひとり闇の中から抜け出せない貧困女性がいる。ネットカフェで寝泊まりしたり、路上で一晩を過ごしたりする彼女たちの実態はどうなっているのか。
日が暮れたとたん、体の芯まで凍えるような風が吹く。手や足は冷え切り、感覚がなくなってくる…そんな寒さのなか、「帰る家がない」人がいる。「女性が輝ける社会」という言葉が溢れるなか、女性の格差は広がり、貧困に苦しむ女性が増加している。
立命館大学産業社会学部准教授の丸山里美さんは、「全国で路上生活を送る女性は少なくとも260人」と言う。
「現在、路上生活者は約7500人、そのうち女性は3.5%という統計を厚生労働省が発表しています。単純計算で女性の路上生活者は約260人ですが、これはあくまで統計上の話。私の実感では、もう少し多いと思います。
厚労省は路上にあるテントを調査して統計をとっていますが、テントに人がいなかった場合などそこに住んでいるのが男性か女性かをきちんと確認していない場合もある。また、路上生活は盗難や暴行に遭うことが多く危険なので男性の格好をして暮らしている女性も少なくない。夫婦で暮らしている場合には男性しか前に出てこないことが多いのです」(丸山さん)
さらに丸山さんは、ホームレスの定義について議論するべきだと指摘する。
「厚労省が調査するのはあくまで路上生活者の数ですがホームレスというのは路上で生活する人だけではありません。ネットカフェで寝泊まりする女性、深夜営業のファストフード店で夜を明かす女性なども含めて調査すべきなのです」(丸山さん)
※女性セブン2014年12月4日号