国内

地震予測東大名誉教授が「長野北部震度6」を的中できた理由

 11月22日の夜10時8分、長野県北部を「震度6弱」の大地震が襲った。県北部に位置する神城断層が震源と見られている。死者こそ出なかったものの、県内の負傷者は46人(うち10人は重傷)に達した(26日現在)。特に被害が大きかったのが北安曇郡白馬村(震度5強)だ。約30棟の家屋が全壊。断水などインフラ被害は村全域に及んだ。

 この「白馬」という地名に、少なからぬ本誌・週刊ポスト読者は驚いたのではないか。9月19日・26日号(9月8日発売)に掲載した『2014年後半「大地震の予兆」マップ』で「要警戒地点」として挙げていたからだ。

 同マップでは、「飛騨・甲信越・北関東」を警戒ゾーンとし、特に白馬を「異常変動地点」として名指しで示していた。ネット上では地震直後から「週刊ポストの記事と地震の震源地がシンクロしすぎていて怖い」という声まで飛び交った。

 この予測を行なったのは、東大名誉教授の村井俊治氏だ。1992~1996年まで国際写真測量・リモートセンシング学会会長を務めた「測量学の世界的権威」である。彼は現在、顧問を務める民間会社「JESEA」(地震科学探査機構)で、メールマガジン『週刊MEGA地震予測』(※注)を毎週発行。独自の理論に基づく予測を展開している。前述した『「大地震の予兆」マップ』は、その予測をベースに今年後半の危険エリアを図解したものだった。

 なぜ「白馬」をピンポイントで名指しできたのか。村井氏の予測法は、「電子基準点の異常変動」をベースとしている。電子基準点とは、国土地理院が1994年から各地のGPSデータを測定するために全国約1300か所に設置した設備である。

 村井氏は、2000年から2007年に発生した162回のマグニチュード6以上の地震すべてのGPSデータを追跡調査したところ、基準点では地震の前に前兆現象があることに気がついた。それは「土地の微少な変動」だ。

 村井氏は過去のデータから、1週間単位の短い期間に、電子基準点に4cm以上の上下動があった場合を「警戒ライン」とし、過去の地震前に起きていたパターンと比較した上で、地震発生の危険性を判定する。その結果、浮上したのが「白馬」だった。この地点の電子基準点は、期間中に8.33cmという大きな変動を見せていた。

【※注】『週刊MEGA地震予測』は毎週水曜日発行(216円)。詳しくは http://www.jesea.co.jp

※週刊ポスト2014年12月12日号

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
工藤遥加(左)の初優勝を支えた父・公康氏(時事通信フォト)
女子ゴルフ・工藤遥加、15年目の初優勝を支えた父子鷹 「勝ち方を教えてほしい」と父・工藤公康に頭を下げて、指導を受けたことも
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン