総選挙で、下村博文・文科相が出馬する東京11区に「謎の女刺客」が登場した。無所属で立候補表明した27歳の「下村めい」なる人物である。知的美人が微笑むビラには、〈教育革命、新しい下村〉〈減税革命、新しい下村〉とあり、「下村」の文字にはわざわざ傍点まで打たれている。自民党関係者は困惑を隠さない。
「11月18日にブログで国政への挑戦を表明し、地元で街頭演説をしている。『下村の、めいです!』と繰り返すから『大臣の姪なの?』と勘違いする有権者までいる。一体なんなんだ」
ビラの経歴によれば長野県生まれの作業療法士で、興味深いのはその政策だ。授業時間をゆとり教育前の水準に戻すなどの〈教育革命〉や消費税率を5%に引き下げる〈減税革命〉を掲げている。
無所属でありながら、それらの政策はある政党とぴったり符合する。幸福実現党である。
宗教法人・幸福の科学を支持母体とする同党がHPで公開する主要政策にも、教育改革や消費減税が挙げられ、使われるフレーズも前述のビラと酷似。自民党関係者が続ける。
「文科省は10月末、来春開設予定だった『幸福の科学大学』を不認可とし、幸福の科学側は不当な判断だと下村大臣批判を強めていた。泥仕合狙いで送り込まれた刺客ではないか」
通常、投票用紙に名字だけが書かれていても得票になるが、「同姓の候補者がいる場合、フルネームでの得票数に応じて按分される」(東京都選挙管理委員会)。それを狙って「下村vs下村」を仕掛けたのか。
幸福実現党は「比例代表で42人を公認したが、小選挙区では公認・推薦を出していない。下村めい氏が党員かはお答えしない」とした(下村めい事務所に取材を申し込んだが、返答はなかった)。
現職大臣が「下村博文はフルネームで記入してください!」と連呼する珍しい選挙戦になるかもしれない。
※週刊ポスト2014年12月12日号