総選挙の終盤情勢はどうやら自民党の「不戦勝」の様相を見せてきた。
解散直後には民主党と維新の党を中心とする第三極政党が統一戦線づくりに動き、自民党側を「40~50議席減らすかもしれない」(選対幹部)と慌てさせた。安倍晋三首相自身も解散直後は「目標は自公で過半数」と弱気になっていた。
しかし、各党が私利私欲に走って野党連合のはずが「野合」になり、有権者のアベノミクス批判の受け皿はできなかった。295の小選挙区のうち、民主党は178人、維新は77人の候補しか擁立できず、多くの選挙区では自民党前職が余裕しゃくしゃくの戦いぶりだ。
世論調査を見ても安倍政権と自民党への支持は間違いなく下がっているにもかかわらず、反自民の有権者が投票に向かうモチベーションは失われ、投票率は前回総選挙(約59%)を大きく下回って史上最低を更新すると見られている。票が取れなくても自民党が圧勝するという反民主主義的な結果が予想される。
それこそが、安倍自民党の最初からの狙いなのだ。官邸はメディアに圧力をかけて政権批判を封じて選挙をつまらなくし、メディアはその片棒を担いだ。
※週刊ポスト2014年12月19日号