夫婦の生活は人それぞれだが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回は、銀行勤務のご主人(52歳)が、掃除ベタな奥様(55歳)についてエピソードを教えてくれます。
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換気扇とか窓の桟とか、一応、女房が掃除するんですけど、汚れは全然取れてなくて、僕がやり直しです。掃除機を使わせても「これ、吸引力ゼロね。もう寿命よ。『吸引力が変わらない掃除機』に買い替えましょ!」。
よく見たら、掃除機の中はゴミで一杯。そりゃ吸い込まないはずです。そんな使い方で掃除機もへたっていたので、買い替えました。
何日かして、リビングでその強力な掃除機を使っていると、開けていた窓から蛾が入ってきたんです。条件反射のように女房が吸引口を向けると「スポッ!」、見事に吸い込まれた蛾。「うわぁ、おもしろい!」。それからは掃除そっちのけで「他にも虫がいないかしら」。冷蔵庫の隙間とかまで掃除し始めた女房。ついには「どうせ毎年暮れにあなたの実家に行くんだから、大掃除手伝いに行きましょうよ」と言い出しました。
さっそくうちの両親に電話し、車のトランクに掃除機を入れ、田舎へ。着くなり掃除を始めたと思ったら、「大きい虫がいた!」。「おい! それは……」声をかけたのですが間に合わず。妻が吸い込んだのはカメムシでした。案の定、半端ないニオイが充満。「もう! こんな臭い掃除機、使えないわ。アナタのお小遣いで新しいのを買ってよ!」。そんな要求、吸い込めないよ!
※週刊ポスト2014年12月19日号