現在の国会の仕組みと議員の能力では、自民党が巨大化するほど政治の能力は下がっていく。わかりやすいデータで示そう。
NPO法人「万年野党」の発表によると、今年の通常国会での自民党衆院議員295人の平均質問回数はわずかに1.1回だった。議員数が増えすぎたために150日間の会期中に、質問の機会が1回しか回ってこないのである。そのうち質問も議員立法の提出もしていない議員が46人いた(政府役職者、委員長の職にあった者は除く)。
自民党には国会経験の浅い若手が多いが、これまで2年間の任期で2~3回しか質問に立てなかったことになる。
彼らが国会で何をしているかというと、国会対策委員会からの指示に従って毎日、定足数を満たす数合わせのために委員会に出席し、役人が作った内閣提出の法案に賛成するだけの採決要員と化している。自民党町村派の議員OBが語る。
「自民党には1回生から政調の部会に所属し、先輩議員との法案審査や税制改正での議論を通じて政策力をつける仕組みがあった。法律の条文が1行変わるだけで関連業界や企業に数十億円の影響を及ぼすというリアルな政策の意味は、法律を学んだだけでは絶対にわからない。当選3回になると部会長の役目を与えられ、役所と折衝する力がなければ党内発言力を認められなかった。
しかし、いまや部会が官邸の指示通りに政策を追認する機関となり、若手の国会質問の機会もほとんどない。これでは、当選回数を重ねても政策力はつかないし、役所にものが言える政治家は育たない」
※週刊ポスト2014年12月26日号