北半球の上空を吹くジェット気流(偏西風)は、赤道と北極の温度差が大きくなれば流れの勢いが強くなり、小さくなれば弱まる。近年は温暖化の影響で北極の気温上昇が加速しており、南北の温度差が小さくなっている。ジェット気流が弱まると、心配な現象が起きる。偏西風の蛇行により1か所に高気圧が長くとどまるのだ。
これは他の低気圧などの動きをブロック(阻止)することから「ブロッキング高気圧」と呼ばれる。『異常気象学入門』(日刊工業新聞社刊)の著者で気象評論家の増田善信氏はこう解説する。
「太平洋側の豪雪は、冬から春にかけて発生して日本列島南岸に沿って発達する『南岸低気圧』が接近したタイミングで起こりやすい。南岸低気圧の行く手がブロッキング高気圧に阻まれ、そこに湿った空気が流れ続けることで降雪時間が長くなるケースが増えています。今年2月に東京・山梨を襲った豪雪も、そのメカニズムだったと考えられます」
気象予報士の森田正光氏が警鐘を鳴らす。
「蛇行現象は月に2~3回起こるといわれています。つまり、今シーズンだけでも最大9回は大寒波が日本を襲うでしょう。
さらに危惧されるのは、エルニーニョ現象(※注)などの影響で今冬は多くの南岸低気圧が日本列島を通過すると見込まれていることです。南岸低気圧が接近するタイミング次第ですが、東京をはじめとした太平洋側の都市部が年末年始に3回の豪雪に見舞われてもおかしくありません」
【※注】エルニーニョ現象/ペルー沖で海水温が上昇する現象。世界中で異常気象の原因となっている。冬にエルニーニョが起きると、西高東低の気圧配置が崩れ低気圧が日本を通過しやすくなる。
※週刊ポスト2014年12月26日号