店舗によって多少の差異があるものの、コンビニおでんは時間帯によって味が変わらないよう工夫されている。
コンビニでは、おでんの煮詰まりを防ぐために改良されたつゆを使用し、「おでんウォーマー」と呼ばれる鍋で保温状態をキープ。そこに次々と具材が投入されるので常に一定した味になるのだという。
ただし、同じコンビニチェーンでも、エリアによって微妙に味を変化させていることがある。たとえば、社内に専門チーム『おでん部会』を設置するセブン‐イレブンでは、
「つゆは全国を7地域に分け、各地域の嗜好に合わせた原料をベースに調味しています。つゆと具材は毎年リニューアルし、今年は追い鰹に使用する薄削り節と昆布だしを増量、旨みと風味をさらに追求したつゆに仕上げています」(セブン&アイHD広報)
ファミリーマートでも全国を5地域に分割し、それぞれの地域の最適なレシピに合わせたつゆを採用。
「飲んで美味しいおでんつゆとして、つゆだくおでんをお勧めしています。鍋持参で購入される”鍋買い”も大歓迎です」(ファミリーマート広報)
一方のローソンは、全国で統一したつゆを使用。より厳選した素材を使用してつゆを作るためだという。
「3種類の削り方(厚削り、薄削り、粗砕き)で焼津産鰹節を段階的に抽出することで、鰹の旨みを感じるつゆに仕上げました。さらに店舗で仕込む時に粗砕きの鰹節入りのだしパックを入れることで、鰹節本来の風味と香りを引き出しています」(ローソン広報)
コンビニジャーナリストで『コンビニだけが、なぜ強い?』(朝日新書)の著者である吉岡秀子氏によれば、
「コンビニはお客に飽きられないよう、短いサイクルで新商品を次々と開発、店頭に並べていきます。老舗のおでんは味も具材もずっと変わりませんが、コンビニおでんは去年とはつゆも具材も違うのが常識となっています」
ちなみに売り上げベスト3は各社ともに【1】大根、【2】たまご、【3】白滝の順だった。
■文・鵜飼克郎(ジャーナリスト)
※SAPIO2015年1月号