中国がノーベル平和賞に対抗して創設した「孔子平和賞」が2014年で5回目を迎え、今回の受賞者はキューバのフィデル・カストロ氏と決まった。とはいえ、カストロ氏を含めて5回のうち3回も受賞者が授賞式に姿を現さないという奇妙な賞だけに、「このような権威も何もない賞に、孔子が自分の名前を使われたと知ったら、草葉の陰で泣いているに違いない」などとの辛辣なコメントがネット上に掲載されている。
この賞は2010年のノーベル平和賞に中国の反体制民主化指導者、劉暁波氏が決まったことに対抗して、中国の文化省関連機関といわれる中国郷土文化保護協会なる団体が翌2011年に創設した。
平和に貢献した人物に対して、その功績を顕彰し授与するという趣旨だが、設立趣意書では劉氏がノーベル平和賞を受賞したことについて激しく批判している。
第1回の受賞者は台湾の連戦・中国国民党名誉主席(元党副主席)だったが、連氏が授賞式に出席しなかったことについて、連氏の秘書は「中国側から一切連絡がなかった」とコメントしている。同賞はノーベル平和賞に対抗するだけのために創設されたものであり、ずさんな運営ぶりも明らかになった。
しかも、上部団体であるはずの文化省も「中国郷土文化保護協会が勝手に文化省の下部組織であると名乗っている」などと暴露する始末。同協会は第1回目の授賞式後、翌年からは賞の選考を行なわないとして、同賞は1回で終わりになるはずだった。
ところが、香港の別団体である「孔子国際平和研究センター」が孔子平和賞を継承することになり、翌2012年にはプーチン・ロシア大統領の受賞が発表された。第3回はコフィ・アナン元国連事務総長と、中国の穀物学の権威である袁隆平・元湖南署農業科学院研究員、第4回は釈一誠・中国仏教協会会長、そして今年の5回目がカストロ・前キューバ国家評議会議長と続く。
このうち、授賞式に出席したのは中国人の袁氏と釈氏の2人だけ。他の外国人3氏は欠席し、賞そのものが無視された形だ。
中国版ツイッターの微博(ウェイボ)では「今年はカストロが受賞したが、もともとはサダム・フセインかムアンマル・カダフィが受賞する予定だった。ところが、不幸なことに、彼らは天に昇ってしまったので、カストロに決まったというわけだ」との書き込みもみられる。