2014年の民放連続ドラマは、全放送が終了。『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)が22.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)で、堂々の全話平均視聴率1位に輝いた。2位は『HERO』(フジテレビ系)の21.3%で、3位は『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)の16.1%だった。
ドラマと言えば、かつてはフジテレビとTBSが圧倒的に強かったが、近年は日本テレビとテレビ朝日の健闘が目立っている。テレビ局関係者が話す。
「“効率”という観点から見ると、日テレが群を抜いている感じです。テレ朝は10~12月クールこそ、『ドクターX』『相棒 season13』『科捜研の女』と3本の高視聴率ドラマが出ましたが、9月までは思うように数字が伸びないドラマも多かった。
日テレは今年のプライム帯(19時~23時)ドラマで、平均視聴率が1ケタに終わったのは『弱くても勝てます』だけ。8本中7本が2ケタに乗る安定ぶりで、『きょうは会社休みます。』などの話題作も生んでいる」
そもそも、日テレはドラマの本数自体が少ない。プライム帯で見ると、フジとTBSが最多の5本を制作。テレ朝3本、日テレ2本、テレビ東京1本となっている。
「ドラマ制作はとにかくおカネがかかる。その割に、視聴率もさほど獲れるわけではない。当たったときは映画化などもできるし、大きな収入を得られるが、そうそうある話ではない。一か八かの側面が大きいわけです。
そのため、日テレはドラマの本数を減らすという堅実な作戦に出ています。制作費も他局と比べると、かなり安い部類に入るはずです」(同前)
バラエティを始め、昨今のテレビ番組はロケを減らし、経費削減に励んでいる。だからといって、ロケをしないでドラマを制作することはできない。そのため、ドラマ制作にはどうしてもおカネがかさむのだ。
「日テレはおカネの使い方がうまいんですよ。各局の全体の制作費を見ても、フジやTBSは断トツで高い。日テレは2局と比べれば少ないのに、視聴率争いでは独走しています。
裏を返せば、フジやTBSはいまだに古い時代の流れを引きずっている。今の時代にしては、ドラマの数が多すぎるし、それでいて視聴率も獲れていない。フジは『HERO』や『昼顔』のように話題になったドラマもありましたが、TBSは7月以降の連ドラすべてが平均視聴率1ケタに終わっています。最近はWOWOWと共同制作をするなど工夫をしていますが、そろそろドラマ枠削減の話が出てきても、おかしくありません」
12月第3週まで全日視聴率54週連続トップをひた走る日テレは、2014年の視聴率三冠をほぼ確実にしている。そのウラには、計算の立ちにくい連続ドラマの本数自体を少なくするという戦略も奏功しているようだ。