だしの香りに誘われて、思わず手を伸ばしてしまうコンビニのおでん。ジャーナリストの鵜飼克郎氏が、その動向についてレポートする。購入時に、意外な裏ワザも存在するようだ。
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店舗での販売方法も変化している。かつてはセルフ式が主流だったが、近年は店員がおでんを取る方式に移行しつつあるという。
「セルフ式は具材を崩されたり、衛生面の問題や計算がしにくいという問題がある」(コンビニ店長)
また、コンビニジャーナリストで『コンビニだけが、なぜ強い?』(朝日新書)の著者である吉岡秀子氏は、
「店員が“声掛け”をして容器によそうことで、お客がおでんを余分に買ってくれる効果もあります。また、地元の方々とのコミュニケーションも生まれるなど、様々なメリットがあります」
コンビニにとっておでんは、客との会話を生む数少ない商品でもあるのだ。
この“声掛け”により生まれたのが前述したファミリーマートの『つゆだくおでん』だった。好みが一番分かれるつゆを認識してもらう目的で、「つゆを使ってうどんを食べてみてください」「お鍋に使うと美味しいですよ」と沢山入れたところ、つゆを家に持ち帰った客がカレーうどんや煮物などに使い、その活用法がネットで拡散。おでんの売り上げアップにつながったという。
また、最近、流行しているのは、“鍋買い”だ。
「主婦や一人暮らしのシニアが買うようになったことで、コンビニおでんが家庭の食卓にも並ぶようになりました。店側も鍋買いを勧めるようになり、おでんの地位が小腹を満たすスナックから惣菜に昇格したのです」(吉岡氏)
おでんの老舗店の店主もその成長に一目を置くコンビニおでん。一度、鍋買いをしてみるのも悪くなさそうだ。
※SAPIO2015年1月号