衆議院第68代議長を務めた元社民党党首の故・土井たか子さん(享年85)。衆院議長まで務めた政治家でありながら、土井さんは「マンションを買ったりして、そのお金のために働くのは嫌なの」と、亡くなるまで自宅も車も所有することはなかった。議員時代の西宮の住まいは、国道沿いの四畳半と六畳2間のアパート。
議長は、皇室主催の晩餐会で乾杯の発声をするのも仕事だが、土井さんはいつも一着しかない紺のロングドレスで出席した。秘書として共に歩んできた五島昌子さんはある日、女性官僚から呼び止められ「私たち、あのドレスを土井さんのお制服って呼んでるのよ。何とかなさい」と言われたという。
「なんですって! と思ったわね。それから、がんばってドレスやスーツを作りましたよ。貧乏だってご存じだから、デザイナーの先生が同情して、随分協力してくださったわ」(五島さん)
“自民党の暴れん坊”と呼ばれた故・浜田幸一衆院議員(当時)は「国会で本当に清廉潔白なのは土井たか子だけだ」と著書に記した。「ハマコーさんね、土井さんが代表質問をするときに、他の自民党の議員が野次るのを抑えてくださるんです。あのかた自身が大声で野次を飛ばすことで有名でしたけど(笑い)」と、五島さんは懐かしむ。
※女性セブン2015年1月8・15日号