お正月には日本人の文化や伝統が息づいている。そして、それぞれの家族にも、お正月の行事が受け継がれているもの。NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」に出演している夏樹陽子さん(62才)にお正月の思い出を聞いた。
3才までは三重県伊勢市で過ごし、サラリーマンだった父親の転勤によって大阪市で小学生時代を過ごした夏樹さん。
「父の会社の社宅で両親と弟と4人で暮らしていました。社宅の裏には大きなテニスコートや畑があって、そこで凧揚げや羽根つきをしたり、家の中では家族で麻雀をしたりすることもありました。父はとても手先が器用で、一緒に凧を作ってくれて親子でよく遊びました。
父は幼い頃に母親を亡くしているため、何よりも家族を大事にする人で、お正月は必ず家族全員で過ごしていました」
もっとも印象に残っているお正月の風景といえば1月3日頃、父親が部下である女性社員たちを家に招いて、一緒に食事をしたことだという。
「毎年、お正月になると父が女性社員を招き、豪勢にお寿司をとってふるまうんです。当時、小学生だった私にとって、お寿司は特別な日にしか食べられないものでしたから、その日が楽しみでした。父の部下であるお姉さんたちは、私たちをずいぶんかわいがってくれましたから、今思い出してもとても幸せな楽しい思い出です」
女優の仕事を始め、結婚したあとは実家に帰ることは少なくなったが、20年前に離婚。独り身になってからは両親と都内のホテルで過ごすようになった。
「9年前、父が亡くなってからは、母が外出したくないというので私が実家に帰るようになりました。今、母は介護が必要なので、お正月だけでなく、頻繁に実家に行くようにしています。あと何年、一緒にいられるかわからないわけですから、できるだけそばにいたいと思っているんです」
彼女が思うお正月ならではの親孝行がもうひとつある。
「働き始めてから毎年、両親にお年玉を渡していたのですが、ものすごく喜んでくれました。親って子供からお年玉をもらうことは、とてもうれしいことのようですね」
※女性セブン2015年1月8・15日号