正月太りの原因には特徴がある。「減塩料理とお酒」をテーマに講演活動などを行なう管理栄養士の内野未来氏が解説する。
「通常の肥満は摂取カロリーが過剰になって徐々に体に脂肪がついていくことで起きます。それに対し、短期間で急に腹や足に肉がついたように思える正月太りには別の原因があります。
お正月料理は、おせちをはじめ、雑煮、煮物、練り物、焼き魚など、塩気の多い料理が多く塩分摂取が過剰になりがちです。また、おしなべて味の濃い料理が多いので、喉が渇いて水分を多く摂ってしまい、『むくみ』が起きやすい。これが正月太りの正体なのです」
さらに、お屠蘇を皮切りに、ビールや日本酒、焼酎といった飲酒が正月太りを加速させる。
「とくに冷たいお酒を飲み過ぎると『むくみ』につながりやすい。肝臓や腎臓の働きが鈍くなり、代謝が落ちて、塩分(ナトリウム)が排出されにくくなるからです」(同前)
正月太りの真犯人である「むくみ」を解消するにはどうすればいいのか。内野氏は日本人が1月7日に伝統的に食べてきた食事に大事な教訓が隠されているとアドバイスする。
「お正月の祝膳や祝酒で疲れた胃腸を休める目的があるとされる『七草粥』はむくみ解消に効果的です。塩を控えめにして薄味で作れば七草の持つ利尿作用によってむくみが取れます。気になる方は3日間ほど続けてみてください。お粥は疲れた肝臓や腎臓の回復にも効果があるので、塩分の排出もスムーズになります。
独特の味が苦手な方は水菜や小松菜、ネギなど青野菜を加えれば食べやすくアレンジできます」
管理栄養士の浅野まみこ氏はこうアドバイスする。
「塩分の排出を促す作用がある『カリウム』を含む食品を多く摂ることが効果的です。
たとえばパセリには100グラムあたり1000ミリグラム、アボカドには720ミリグラム、ほうれん草には690ミリグラムのカリウムが含まれます。果物にも多く、バナナには360ミリグラム、メロンには350ミリグラム入っています。
カリウムは水溶性なので、料理すると流れ出してしまいます。ジュースやスムージーを作って丸ごと摂取するのがいいでしょう」
面倒なら市販されている食塩不使用の野菜ジュースやトマトジュースでも効果がある。
※週刊ポスト2015年1月16・23日号