中国が昨年12月中旬、開発中とされていた大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風(DF)41」の試射に初めて成功したことが分かった。中国系香港紙「大公報」が報じた。DF41は米国の首都、ワシントンやニューヨーク、西海岸のシアトルやロサンゼルスなど主要都市に壊滅的被害を与えることができるといわれるだけに、米政府は神経を尖らせている。
今回試射されたDF41の射程は約1万2000kmにも達し、北米全体を射程圏内に収めているという。DF41に搭載された弾頭の数は不明だが、最大で10個の核弾頭を搭載可能。米政府は「多目標弾頭を搭載でき、複数の核弾頭がそれぞれ個別の目標を狙うことが可能」と分析している。
また、発射台付き車両による移動型だけに、空爆などによる攻撃が難しく、しかも固体燃料を使った3段式で、発射も容易だ。このため、米政府は中国が戦略核を「先制使用」する可能性を強く警戒している。
中国は1999年、初のICBMで射程9000kmの「DF31」を実戦配備。DF31は単弾頭だったが、2007年に3個の核弾頭を搭載できる射程1万1000kmのDF31Aの開発に成功した。いずれも、発射台付き車両による移動型。
軍事情報分析に定評のあるストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、中国の核弾頭保有数は約250個(2013年)とされるが、実際にはこの2~3倍を保有しているとの説もある。
中国はICBMのほか、射程7400kmの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪(JL)2」の配備を開始しており、多弾頭型を開発中といわれる。とはいえ、2003、2004、2005、2008、2009、2012年に行われた水中発射試験のうち、2005年と2012年の試験を除いていずれも失敗して、JL2の開発は難航を極めている。
米軍の中国軍事専門家のなかには「ICBMやSLBMの開発技術は米軍から不法に取得したもので、中国独自のものではない」と指摘する者もいる。