1972年に仏「国民戦線」(FN)を創設したジャン=マリー・ル・ペン氏。移民排斥、反EUなどを主張する同党は2014年欧州議会選(フランス)で24議席を獲得するなど大躍進している。同氏は日本の未来について、こう警告する。
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日本は少子高齢化によって移民労働力が必要との声があがっていると聞く。しかし、労働力不足の解決策として労働者を外から連れてくるのではなく、長期的な視座に立って子供を作る政策を考えるべきだ。国が移民政策に逃れるのは、我々仏が辿ってきた道同様、あまりに安易である。
仏は戦後、雇用者たちの労働力補強の一環として、移民労働政策を取り入れてきた。それは、経済成長と低賃金労働を見込めたからだった。
しかし、1974年まで、我々は、それが国家の安定を揺るがすことになるとは気づかなかった。当時、ジスカールデスタン大統領の下で、1974年に移民労働者の「家族呼び寄せ」が可能となり、国内に大きな変化が起きた。労働移民として入国した外国人が、さらに家族を仏に呼び寄せ、仏政府は労働者でない人々にも仏国籍を与えたのだ。
それから40年が経過した今、移民は我が国において日常化、あるいは大衆化した現象となった。数にするとおよそ30万人の外国人が毎年、仏に入ってくるようになった。平均2人の子供を持つ仏の家族に対し、移民によっては、5人の子供を持つことも稀ではない。
現在、人口6500万人のうち、1500万~2000万人はムスリム移民で占められている。われわれは、二重国籍を許可しているため、たとえば、アルジェリアで選挙が行われる際には、仏国籍を持つアルジェリア人80万人が投票する。しかも、彼らは、仏大統領を選ぶ権利も持ち合わせるのだ。
このような事態を防ぐために、移民には制限を与えることが必要なのは明確だった。労働者として入ってきた移民と、家族呼び寄せで入ってきた移民がいるが、我々は彼らの衣食住、教育、医療の面倒まで見ている。失業者も、現在、数百万人に上る。これは文明上、「グラヴィッシム(深刻な問題)」と言えるだろう。
●取材・構成/宮下洋一
※SAPIO2015年2月号