元京都大学大学院准教授で評論家の中野剛志氏が、果たして中国が尖閣諸島に侵攻した場合、何が起こるのかについて指摘する。
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ロシアのクリミア侵略に対して、アメリカは経済制裁しかしなかった。ならば尖閣諸島を奪取しても、アメリカがやるのはせいぜい経済制裁だろう。中国はそう読んでいる。アメリカが尖閣を守れなかった時、日米同盟は無効化し、東アジアに中国を頂点とする秩序が成立する。そして日本は中国の覇権に屈する。だから中国は尖閣を執拗に狙っているのだ。
尖閣とは、日本の喉元に当てられた『カミソリの刃』にほかならない。
習近平は、2013年6月の米中首脳会談で「太平洋には米中という二つの大国を収めるのに十分な空間が存在する」と発言したという。確かにアメリカは東アジアから撤退しさえすれば、中国と共存できるだろう。だが、日本は東アジアから撤退することはできない。日本の自主防衛は、もはや望むものではなく、強いられるものなのだ。
※SAPIO2015年2月号