就職活動時期の繰り下げ決定を受け、2016年卒の学生(現在の大学3年生)の就職活動は2015年3月に解禁の予定だ。すでに就活の準備を始めている学生も多いかもしれないが、昨年、就活を経験した2015卒の学生たちからのアドバイスとして「コミュニケーション能力」という言葉の使い方には注意が必要だという意見が出ている。
マスコミ系企業に内定した女性・Aさん(私立大学4年生)は次のように話す。
「内定が出た後、人事の方と内定者で食事をする機会がありました。そこで『あなたを選んだきっかけは、自分の好きなことが明確で嘘がないところ。コミュニケーション能力があります、とか言う学生のことは、僕は絶対に選ばない。君は面接でそういうことを一度も言わなかった』と話してくれました。
自分でも意識していなかったのでビックリしました。とくにマスコミだからかもしれませんが、誰でも言えることを言っても逆に評価が下がるので、自分に嘘をつかないことが重要だと思います」(Aさん)
またIT企業に内定した男性・Bさん(私立大学4年生)も、次のように話す。
「面接の時に、絶対に言わないように気をつけていたのが『コミュ力があります』という言葉です。僕自身が嫌いな言葉でもあるし、曖昧で中身がない言葉だと思ったので。ただ、ある会社の面接で『あなたが思うコミュニケーション能力とは何ですか?』と質問された時には、『相手が何を伝えたいのかを汲み取る力だと思います』と答えました。
ガツガツした積極性を評価するタイプの会社ではないと思ったからです。後で人事の方に、『相手の求めているものを察して答えるのが上手いね』とコメントをもらえたのがうれしかったです」(Bさん)
近年、「自分にはコミュニケーション能力がある」と話す就活生が“インフレ状態”にあるなか、こうしたキーワードに頼らずに自分自身をPRする能力が本当の「コミュ力」と言えるのかもしれない。