年を重ねていくと、いつの間にかできていた小さなしみやくすみに気づいてガッカリしたり、たるんだ頬を眺めては、ハリを取り戻したい! と願うもの。
「しわやたるみをなかったことにして、ぷるぷるの赤ちゃん肌に戻りたい!」
そんな女性の夢を実現してくれるかもしれないのが成長因子(グロスファクター)だ。
「成長因子は、たんぱく質の一種で、人間の体内でコラーゲンやエラスチンを生成する細胞はもちろん、すべての細胞増殖をコントロールする働きを持ちます。化粧品成分としてすでにお馴染みのプラセンタも、なぜ美肌効果があるのかというと、胎盤に含まれる成長因子が効果を発揮しているからなんです」と解説するのは、肌治療、トラブル予防、美肌維持までを1か所で行うというコンセプトのクリニック『ウォブクリニック中目黒』を開院した総院長の高瀬聡子さん。
成長因子は数多く存在するが、中でも肌に効果を発揮すると注目されているのが、EGF(上皮細胞成長因子)とFGF(酸性線維芽細胞成長因子)の2種類だ。
「EGFは1962年にアメリカの生物学者である、コーエン博士によって発見されました。博士はこの発見で、後にノーベル医学生理学賞を受賞しています。EGFは、主に肌の表皮の細胞に作用して、ターンオーバーを正常化する働きがあります。一方、FGFは真皮の線維芽細胞に作用して、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生産促進や血管を強化する働きがあります」(高瀬さん)
どちらの成長因子も衰えていた細胞を再生・増殖させる。その結果、肌が本来持っている力を取り戻し、シミ、しわ、たるみなどの改善に効果が期待できる。
また、体内のEGFは赤ちゃん時をピークに、20代から急激に減少するため、外から補う必要がある。
2001年にはFGFが配合された潰瘍治療薬が日本で認可され、医療現場で利用されるようになった。
「当時、大学病院に勤務していたのですが、他の治療薬と比べて、潰瘍の治るスピードが早く、しかもきれいに治るというのが印象的でした。また、EGFとFGFは単独でも効果がありますが、同時に使うとより高い効果が得られるというデータがあります」(高瀬さん)
その後、育毛や美容皮膚科の治療などでも利用されるように。さらに、2005年には化粧品への配合も認められた。
美容成分としてより身近になった成長因子について、スキンケアからヘアケアまで幅広い美容記事を手がける美容ライター・宇野ナミコさんはこう話す。
「もともと医療分野での実績があったので、美容の分野でも注目されている成分です。とはいえ、EGFが化粧品の成分として認可された当初は、高額な素材でした。しかし、近年は同様の働きをするEGF様ペプチドやFGF様ペプチドが登場。コスメにも配合されやすくなり、毎日のケアに取り入れられるようになりました。
化粧品は、もったいないからと決められた量以下をチビチビ使うよりも、使用量を守るほうが効果を実感しやすいはずです」
再生医療からコスメまで幅広く利用される成長因子。今後、ますます身近になり、エイジングの味方になってくれることは間違いない。
※女性セブン2015年2月26日号