イスラム国やイスラム過激派の脅威はアジアにも飛び火している。邦人が拘束され、その後黒装束の男が日本人もテロの標的だと宣言した。また、1月25日、フィリピン南部でイスラム過激派が警察の特殊部隊と交戦、警官30人以上が死亡した。
危機管理論が専門の大泉光一・青森中央学院大学教授は「日本でもテロの可能性は高まった」と警告する。
「銃火器の調達が難しいのでテロは起こしづらいという見方があるが、日本で一般に入手できる薬物や黒色火薬で化学兵器・爆発物などを製造することは十分可能。
さらに、テロリストに国籍は関係ない。日本人や白人の若者がイスラム国に同調・加担する可能性を見るべき。そうした人物は日本国内にもいるし、海外から入国するのも容易い」
その時、どこが狙われるのか。
「テロの目的は一人でも多くの人に被害を与えることだから、当然、人口密集地である首都・東京が最も危ない。中でも、人が多く集まり警備が手薄い施設ほど狙われやすい。例えば空港や駅、イベント会場などは警備を強化しなければならない。
もう一つ、警備が不十分な日本の原発も格好のターゲットだ。民間警備会社が銃器も持たずに守っている。テロリストはわずかな武器で原発を制圧できる可能性が高い」(大泉氏)
そうした危機意識の欠如は捜査当局にも見られ、テロの危険性を高める結果となっているという。
※SAPIO2015年3月号