本誌前々号(1月26日発売)でスクープした千賀ノ浦部屋の十両力士・舛ノ山によるイジメ問題。
舛ノ山は後輩力士(現在はイジメを理由に廃業)を自室に呼び出しては、殴る蹴る、さらに「エアガンで撃つ」「乳首を噛む」「タオルで首を絞め失神させる」などの暴力行為を繰り返していたと告発された。
暴力をはじめ不祥事撲滅を誓っているはずの相撲協会は本誌報道後に何らかの調査を行なったのか。広報担当者がこう語る。
「どのような調査をしたかを答えることはできません。また、記事に掲載されている情報では被害者をはじめ具体的なイジメの状況がわからないため、これ以上は調査できません」
どうも「何もしていない」のが実態のようだ。角界関係者がこう話す。
「協会は親方に『ポストからこんな取材があった』『こんな書かれ方をしていた』と“報告”しただけ。協会が被害者に聞き取り調査することなどありません」
ならば、被害者の親から抗議を受けたトラブルの当事者でもある親方はどうしたのか。千賀ノ浦部屋と同じ出羽海一門の関係者が語る。
「普段は若手力士とにこやかに世間話している親方ですが、ポストの報道後は力士たちとの会話を避けるようにしていたそうです。舛ノ山のイジメの話には触れていないと聞いています」
親方もイジメの状況を把握しようとした形跡がない。初場所後の休みが終わり、稽古を再開した千賀ノ浦部屋に取材すると、部屋の若い力士がこう話した。
「親方はいません。おかみさんとハワイに行っています。いつ帰ってくるかは聞いていません」
親方不在の部屋では、加害者の舛ノ山の姿も見られない。
「ほとんど自室に籠もっているようです。本人は親方の注意を受けたのかもしれません」(前出の関係者)
「おとなしくなったから解決」というわけにはいかない。舛ノ山は以前も別の被害力士の親が暴力をやめるよう部屋に駆け込んだ際、一時はイジメをやめたがすぐに再開した経緯がある。
本誌前々号で被害を告発した元力士は、「いまだに親方や協会の人は調査に来ていません。電話の一本すらない」と語る。相撲協会も親方もこのままうやむやにすることは許されない。
※週刊ポスト2015年2月20日号