銀座界隈には現在、ラーメン店や中華料理店は100店舗近くあるといわれている。2010年頃からは毎年4~6軒のペースで増え続け、とくに銀座6丁目12番地はその一角だけで5店舗が並ぶ“銀座のラーメンストリート”になった。なぜ高級レストランが軒を連ねる銀座に、大衆料理の代表であるラーメン店が増えたのか。
ラーメン評論家の大崎裕史氏が言う。
「不景気が長引いたせいで、ここ数年銀座にはテナントの空室が目立っていました。そこに初期投資が安く居抜きでも始められ、長い修業も必要ではないラーメン店が相次いで進出。とくにランチ時の反響が大きかったようです。銀座周辺のサラリーマン、買い物客の〝お金をかけずに美味しいものを〟というニーズに応える形で人気が出ました」
今では、30年以上続く老舗や、『九州じゃんがら』などのチェーン、そして新たに進出した新興店などがしのぎを削る激戦区になった。とくに競争を激化させているのは新興店。
「銀座の客層は年配のかたや女性が多く、あっさりとした醤油などベーシックな味が人気。その分ごまかしがきかないので、素材の味がカギとなります。新興店のなかにはスープの出汁に高級食材を使うなど素材にこだわり、客単価が1000円を超えるような店も。
それでも銀座は客が入るんです。中にはミシュランのビブグルマン部門(星はつかないものの、コストパフォーマンスが高く高評価な店)で紹介され、さらに人気に火がついた店もあります。今後もさまざまなラーメン店が進出するでしょうが、同時に競争に敗れて淘汰もされていくので、自然と銀座のラーメン店のレベルが押し上げられていくことになります」(大崎氏)
競争が銀座のラーメンをさらに美味しくしているのである。
※女性セブン2015年2月26日号