認知症になるとさまざまな介護サービスを利用する。金銭的に補助してくれるのが介護保険だ。利用できる金額は「介護度」によって決まる。だが、介護認定調査員が自宅を訪れ、『要支援1』から『要介護5』までの介護度を認定する際に、つい見栄を張って、元気に振る舞ってしまうケースがある。
「そうすると実際に必要な介護度より軽く認定されてしまいがち。その場合、家族に必要以上の負担をかけることになりかねません。普段通りの生活を見てもらい、適切な介護認定をしてもらいましょう」(介護福祉士の吉田三和子さん)
ひとり暮らしの高齢者にFAXの購入をすすめるのは、介護・暮らしジャーナリスト太田差惠子さんだ。
「離れて住む子供や親戚との連絡手段に最適です。大きな文字で書けば視力が悪くても読めるし、耳が遠くなっていても心配ない。何より電話と違って、紙なので読んで忘れてしまってもまた読めます」
実際に介護されることになったら、誰にどんな希望を伝えればいいのか。
千葉県在住のA子さん(54才)は、母親の介護経験から、自分が認知症になったら、どうしても守ってほしいことがあるという。
「下の世話は男性ではなく女性スタッフにしてほしい。母が特養に入ったとき、男性スタッフに排泄物を見られるのが嫌だからと、汚れたオムツを隠したことがありました。私も同じ気持ちです。また入浴介助も女性スタッフにしてほしいですね。どれだけ認知症が進んでいたとしても男性に裸を見られることは恥ずかしいと思うんです」(A子さん)
こうした介護の希望を伝える手段として、ケアプランがある。認知症介護研究・研修仙台センター長の加藤伸司さんは言う。
「ケアプランはケアマネジャーが作ります。その際に、自分がどんな介護を希望するかを伝えておく。それこそ入浴介助スタッフは女性限定にしてほしいなど細かい部分までしっかり伝えましょう」
また、ケアマネジャーの峯村良子さんは在宅介護を選択する場合の注意点を指摘する。
「認知症患者の生きがいを奪ったり、軽蔑したりすると、認知症が悪化してしまうケースがあります。家族は、あなたの生きがいや言ってほしくない言葉を意外と知らないことが多い。最低限、家族に守ってほしいことはきちんと伝えておきましょう」
もし家族に伝えにくければ、地域包括センターの職員などに話しておくといい。新田クリニックの新田国夫院長は言う。
「自分の中だけで悩み続けないでください。その間に認知症が進行して困難なことに直面してしまうことになりかねません」
※女性セブン2015年2 月26日号