世界一の人口を誇る中国だが、同時に深刻な「人口問題」を抱えてもいる。現地の情勢に詳しい拓殖大学教授の富坂聰氏が指摘する。
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かつてこの項でも触れた問題だが、中国では人口における男女比のアンバランスが深刻である。「2020年には、中国で『結婚できない男』の数は3000万人~3500万人にも達する」との予測も出された。
この問題の根源にあるのは中国社会に根深い〝男尊女卑〟があるからなのだが、この現象は、「政府が大々的に女の子の重要性を宣伝し、ある地域では女の子を出産した夫婦にボーナスを支給するといった政策を打ち出したにもかかわらず一向に改善しない」(北京の夕刊紙記者)というから筋金入りである。
中国の男女比は、最悪とされた2004年に100対121.2にまで急上昇。これを機にやっと下降に転じたが、さまざまな政策による誘導を行ってきた現状でも、なお100対115(2015年1月20日時点の国家統計局による発表)と世界平均の100対105にはるかに及ばない。
単純に数字で見ると、中国の男性7億100万人に対して女性の数は6億6700万人と3400万人も女性が少ないことになるのだが、こうした事情はベトナムから花嫁候補の女性を誘拐するビジネスを誘発するほど国境を越えて問題となっているのだ。
はたして、この深刻な事態を改善する方法はあるのだろうか。
この疑問に対し1月22日付『新京報』の記事の出した答えが話題を呼んだ。題して〈男女比のアンバランス問題解決は〝輸入〟で解決するしかない〉である。
要するに経済的に恵まれない国から若い女性を中国が大量に受け入れるという方法なのだが、同紙が目を付けたのが戦乱によって国民経済が疲弊しきったウクライナだというから洒落にならない。しかも、「経済は低迷しているが、同国は美女大国として栄えている」とのたまう。
同紙は、こうした発想の根底にはかつて中国の若い女性たちが経済先進国である日本や欧米、そして韓国の女性不足問題を解決してきたことがあるとも指摘する。
もちろん、中国花嫁が日本や欧米、韓国に大量に向かったことは事実だ。だがそれは両国間の経済事情が招いた結果であって、自らの胎内に芽生えた命を超音波検査で性別を調べ、女の子であったら中絶するといった行為が招いた結果の尻拭いなどではなかったはずだ。