1999年に登場し、ED治療薬の代名詞ともなった「バイアグラ」。その特許が2014年に期限切れを迎えたことで価格破壊が起きている。現在、国内でジェネリックを発売しているのは、あすか製薬、アルフレッサファーマ、キッセイ薬品工業、辰巳化学、テバ製薬、東和薬品、富士化学工業、摩耶堂製薬、陽進堂の9社。それらのジェネリック・バイアグラの価格は、いずれも1錠900円~1200円程度となっている。
ジェネリック・バイアグラが登場したのは日本だけではない。個人輸入の代行業者は、世界中から安くて品質の確かな物を探し出し、国境を越えた価格競争が激化している。インターネットで検索してみるといくつもの個人輸入代行業者が見つかる。あるサイトでは「フランス ○○社製」(実際は大手製薬会社名)と謳ったジェネリック品があった。
驚くべきはその価格。1箱4錠入り、5箱で約4000円、1錠あたり約200円だ。もっと大量に購入すれば1錠約170円まで下がる。成分特許がないインドで製造された薬(正確にはジェネリックではなく、主成分が同じ“コピー品”)なら、1錠120~150円で販売されているケースもある。
安い上に医師と対面しなくてもいいネット購入は魅力的に映るが、安全性という点で問題を抱えている。2009年に製薬4社が合同で行なった調査では、日本語で運営されているED治療薬輸入代行サイトの商品184品中の102品が偽造品だったことが判明した。
医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が指摘する。
「偽造ED薬は世界規模で問題になっており、各地で有効成分が十分でない製品が発見されています。青ペンキで塗られた中国製の錠剤など粗悪な製品も確認されていますから、個人輸入で購入するのは危険といわざるを得ません」
個人輸入自体も、そこから購入したものを服用することも違法ではないが、リスクは自己責任であることはいうまでもない。“バイアグラ100円時代”は到来したが、今も処方薬であること、偽物が最も多い薬のひとつであることをよく考え、自分に合った使い方を見つけることが重要なようだ。
※週刊ポスト2015年2月27日号