飛田新地は大阪・西成区にあるかつての遊郭の名残をとどめる街だ。半径200mほどの一画に100軒ほどの“料亭”が軒を連ね、その軒先では、胸の谷間や脚を強調した服やナース服、チャイナドレスなど衣装も華やかな若い女性たちが男性を誘う。
大正時代から続く色街は、1958年(昭和33年)に売春防止法が施行された後も、“料亭”という名目で生き続けている。女性を直接見て店に入り、2階の個室に上がって飲み物を飲む。そこで女性と自由恋愛する──というのが建て前だ。
しかし、最近は客層が変化している。円安やビザ緩和の影響で中国人観光客が急増した。京都や奈良の観光ツアーの中には飛田新地が組み込まれたものもある。関西の中国人ガイドが明かす。
「滋賀県の雄琴、神戸の福原といったソープ街も人気ですが、やっぱり飛田新地がダントツです。デカデカと『外国人お断わり』と看板が掲げられていますが、片言の日本語が話せるか、日本人の仲介者がいれば入店できる店もあります。
中国人は金払いがいいので、だいたい60分コース。欧米やアフリカの客はサイズが違うので入店拒否ですが、中国人、韓国人はアジア人サイズなので無問題(笑い)」
短期アルバイト感覚で飛田新地で働いたことがあるという、都内の名門私立大に通う4年生の聡美さん(22歳。仮名)に訊いても、「他の風俗より接客時間が短いから、言葉が通じなくても困らないんです」とあっけらかんとしたものだった。
※週刊ポスト2015年2月27日号