中国の旧正月「春節」を祝う7連休(2月18~24日)に、史上最大規模の中国人観光客が日本に押し寄せた。全国各地の百貨店や家電量販店に貸切バスで乗りつけて手当たり次第に買い漁る“爆買い”パワーを見せつけた。
中国人観光客が買い漁る一番の人気商品が温水洗浄便座だ。秋葉原の家電量販店では5万9800円もする商品が瞬く間に完売した。
「1人で3台、4台と買うお客さんがいて、約1時間で50台が売れました。1日に何度もメーカーから商品を仕入れています」(家電量販店スタッフ)
特にパナソニック、INAX、TOTOの3メーカーの人気が高いという。上海在住の日本人ジャーナリストがいう。
「日本メーカーは何年も前から温水洗浄便座を中国で生産しているのですが、製品の認知度、普及率とも低かった。近年、有名人のブログで紹介され、ようやくブームが到来しました」
数年前まではドライヤー、電気シェーバー、カメラが日本で買う「家電三種の神器」だったが、近年は炊飯器が主役の座を奪った。しかもこの春節の売れ筋は10万円を超す高級品である。上海から来た男性がいう。
「日本の炊飯器は釜の底が球形だから、熱が均一に伝わるんだ。その点、中国製は平らだから炊きムラができる。粒がピカピカ光るご飯が今から楽しみだ」
3台の炊飯器をカートに積みこんだ40代の主婦は広東省から来た。
「炊飯器は毎日使うし、テレビや冷蔵庫、エアコンみたいにかさばらない。キッチンに日本製の炊飯器があれば、上流家庭だと思われる点もいいの。残りの2台は知人から頼まれたの」
※週刊ポスト2015年3月6日号